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詩人
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 サルは、日なたぼっこの枝の上で、じっと、空をながめています。

「空って、ときどき ながめないと、いけないな」

いつもは、空のあることさえ忘れてしまいそうです。

「いろいろな物が見えるみたいだ」

 ずっと前、姿を見かけたっきり、もう ずいぶん長い間あっていないウサギのおじいさんの顔が、青い空の中に、あるような気がしました。そして、おじいさんが消えると、いなくなってしまった友達や、仲間の顔も、かわるがわる浮かびました。

「あいたいな」

 そういえば、大勢で、野原に寝そべって空を見ているとき、こわいくらい空が澄んでいたので、こちらから空のほうへ落ちていきそうな気持ちになって、みんな あわてて、うつぶせになったことがありました。

「臆病だったな」

 思い出すと、苦笑いが出ました。

 小鳥が、忙しく、パタパタパタと、はばたいては、スーッと飛んで、また、パタパタパタとはばたいて、通ってゆきました。そして、それがちょうど、黒板消しのようになって、友達の顔が、空から消えました。

「ちぎれ雲だ」

 そのあとに、迷子の雲が、ぽつんと流れてきました。下からながめていると、ずっとむこうに、お父さんとお母さんの雲が、浮かんでいるのが見えます。

 でも、空に浮かんでいるどうしでは、見えないくらい、遠いのでしょう。

「あの迷子が泣きだしたら、明日は雨でしょう」

 サルは、ちょっと 詩人になって、天気予報を してみました。

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